BIMの導入を検討中の方向けに、メリット・活用法等を徹底解説|BIMding » BIMの利活用方法や事例を紹介 » BIMは設備設計にも使える?BIMを使うメリットや事例を紹介

BIMは設備設計にも使える?BIMを使うメリットや事例を紹介

目次

BIMは設備設計にも使える?
BIMを使うメリット

現状とトレンド

設備設計分野でもBIM活用が急速に進展しており、電気・空調・衛生など各分野で導入率が拡大中です。大規模プロジェクトではBIMが標準化され、配管や部材の干渉チェック、最適配置、属性情報の一元管理などが実現。

また、クラウド連携によるリアルタイムな情報共有や、維持管理段階でのデータ活用も進んでいます。国のBIM推進政策やi-Construction 2.0の影響で、今後は中小規模案件や専門工事会社にも普及が広がるでしょう。

導入メリット

設備BIMを導入することで、干渉チェックの精度が大幅に向上し、設計段階で配管や部材の衝突を事前に発見・修正。これにより、手戻り工数は最大50%削減され、現場での調整作業や工期の短縮にもつながります。

BIMモデルから部材や機器の数量を自動算出できるため、積算作業の効率が30~50%向上し、ヒューマンエラーや余剰発注のリスクも低減される点が大きなメリット。さらに、維持管理や改修時にも設備情報を一元管理できるため、長期的な運用コスト削減や品質向上にもつながります。

参照元:BuildApp公式HP(https://build-app.jp/column/1632/
参照元:BuildApp公式HP(https://build-app.jp/column/1652/

導入における課題

設備設計でBIMを導入する際の主な課題は、BIMに精通した人材不足とソフト間の互換性の問題です。RevitやRebroなど異なるBIMソフト間でデータ連携が難しく、IFC等での中間ファイル変換時に履歴や属性情報が失われることもあります。

また、初期投資や教育コストの高さ、既存業務フローとの調整、社内体制整備も大きなハードルです。

電気設備などの設備設計に
おけるBIM活用事例

松江土建・落合建具製作所の
事例

導入前の課題

オンライン遠隔での打ち合わせで、感覚や口頭説明だけでは伝わりにくい設計意図や構造をどのように表現したら理解してもらえるのか悩んでいた。

導入による効果

上流で構想している段階から、設計士と一緒に具体的なところまでビジュアル化し、3Dで図面を“見える化”することで、施主とデータ上で話を進めることができた。

担当者のコメント

BIMは目的を持って使ってこそ力を発揮する道具です。データはいくらでも入るので、関係のないデータを入れても仕事量が増えるだけ。今はまだ、BIMを使うメリットやOPENにする意義などを社内報で啓蒙している段階。施工段階での使用は3Dモデルをベースに、必要なところで図面に切り出して、現場が情報を加えて業者にアウトプットしていく程度ですが、作図の作業量が減ったので、それだけでも現場の手間が減り、生産向上につながりました。

引用元:グラフィソフトジャパン公式HP(https://www.graphisoft.com/jp/case-studies/matsuedoken-ochiaitategu-2024

大末建設の事例

導入前の課題

整合がとれていないことで、手戻りや施工のミスが発生し、不要なコストがかかっていた。本来なら未然に防げるはずのミスやトラブルが生じていた。

導入による効果

二次元図面では見落としがちな不具合箇所も、3Dモデルで確認することで、不具合・不整合箇所を抽出。図面品質が向上し、施工での手戻り防止のほか、関連する手間やコストの発生を抑制することに成功した。

担当者のコメント

私は、二次元図面だと高さや方位に混乱することが多々ありましたが、3Dモデルはわかりやすく、すぐに理解ができます。建築業界に入ったばかりの若手にとっても、わかりやすいことが一番だと思うんです。3Dモデルなら新入社員が見ても壁や天井の内側がどうなっているのか一目瞭然です。

今後は、若手に向けて、鉄骨がどう成り立っているのかなどの社員教育にも活用していきたいです。

引用元:グラフィソフトジャパン公式HP(https://www.graphisoft.com/jp/case-studies/daisue-2024

Panasonic
ライティング事業部の事例

導入目的

パナソニックは、電気設備設計における効率化と精度向上を目指し、約35,000品番の照明器具BIMデータを整備しました。国土交通省のBIM推進政策やZEB・ZEH設計への対応もその狙いの一つです。

得られた効果

BIMデータにより配線や配管の干渉チェックが容易になり、照度分布図や発注書の自動作成も可能となりました。設計から施工準備、さらに維持管理に至るまで効率化が進んでいます。

現場の声

設計者からは、メーカー提供のBIMデータを直接活用できる点が高く評価。人材不足の解消にもつながる業務効率化の手段として、今後の普及に期待が寄せられています。

引用元:パナソニック公式HP(https://www2.panasonic.biz/jp/terasu/trend/trendnews/64/bim.html

高砂熱学工業の事例

導入目的

高砂熱学工業は、建設ライフサイクル全体を通じて業務プロセスをBIMでつなぎ、設計・施工・維持管理まで一貫したデータ活用を実現するため、BIM導入を本格化しました。従来の2Dベースの設備CADでは情報の蓄積や活用に限界があり、DX戦略の中核としてBIMを標準化し、業界全体の生産性・品質向上を目指しています。

得られた効果

全国25現場以上でBIMを導入し、設計変更時の見積作成や数量集計がリアルタイムで可能となり、現場管理の効率化を実現。共通テンプレートや部品データ(ファミリ)の整備で、BIMモデルから2D図面出力や進捗・品質・安全管理まで一元化。協力会社とのデータ連携も進み、見積数量の差異や手戻りが大幅に減少しています。

現場の声

現場統括者は「設計変更に伴う見積作成でBIMデータをリアルタイムに活用でき、マネジメントツールとして機能している」と実感。BIM推進部からは「現場の成功体験を水平展開し、全社的な底上げを図りたい」との意欲も示されています。

「設備BIM研究連絡会」
とは?

設備BIM研究連絡会は、複数の大手設備会社が協力し、施工プロセスにおけるBIMの標準化を進めることで、業界全体の生産性向上と品質確保、BIM普及の加速を目指しています。主な活動内容としては、標準ファミリやテンプレートの検討・策定・共有、BIMに適合したワークフローやアドインツールの開発、教育プログラムの整備や勉強会の開催、メーカー向け説明会や他団体との連携による情報発信など。

設備BIM研究連絡会の活動により、BIMデータや部品仕様の標準化が進み、異なる企業・メーカー間でのデータ連携が容易になりました。教育プログラムの整備でBIM人材の育成も加速し、業界全体のBIM活用レベルが底上げされています。標準化によって作業効率や品質が向上し、BIMの普及が一段と進む基盤となる団体です。

CHECK
BIM活用ガイドライン
「電気通信設備編」
ポイントまとめ

国土交通省のBIM活用ガイドライン「電気通信設備編」は、道路情報板やCCTVカメラなどの電気通信設備を対象とし、測量・設計・施工・維持管理の各段階でBIM/CIMを活用する方針を示しています。

設計段階では3次元モデルを用いて配置や視認性を検討し、必要に応じて詳細モデルも作成。BIMモデルには属性情報を付与し、IFC形式でデータ連携を推奨しています。設計から維持管理までモデルを引き継ぎ、一元管理と情報共有を実現することが重要なポイントです。

BIMは設備設計にも広く活用されており、3Dモデルによる設備機器の可視化や干渉チェックの精度向上、手戻りや設計ミスの削減、積算やシミュレーションの効率化など多くのメリットがあります。設計・施工・維持管理まで情報を一元管理でき、関係者間のコミュニケーションも円滑に進むでしょう。

実際の導入事例では、工数削減や品質向上、業務効率化など具体的な効果が報告されており、今後も設備分野でのBIM普及が期待されています。

当サイトでは、ゼネコン・設計事務所・管理会社などの業態別で選べるBIMの外注先の企業を紹介しています。自社のニーズに合った外注企業を選択できるよう、こちらも合わせてご覧ください。

自社に合うBIMソフトが分かる
建物種別で選ぶ
BIMソフト4選
自社のBIM課題を解決する
業態別で選ぶ
BIM外注サービス3選