BIM(Building Information Modeling)は、建物の3Dモデルに材料やコスト、スケジュールなど多様な情報を統合し、設計から施工、維持管理まで一元管理する建築分野で注目されている手法です。3Dモデルによる完成イメージの把握が容易で、設計変更や修正が自動で全体に反映。設計ミスや干渉を早期に発見しやすく、シミュレーション機能により初期段階から適した設計検討が可能などのメリットがあります。
CIM(Construction Information Modeling)は、土木分野で橋梁や道路、ダムなどのインフラ構造物を対象として、3次元モデルに地形・地質など多様な属性情報を統合管理する手法です。BIMと同様に設計から施工、維持管理まで情報を一元化し業務効率を高めますが、CIMは地理的・自然条件を含む幅広い情報を扱う点が特徴。
建設業界の生産性向上と品質確保、深刻な人手不足への対応策として、国土交通省が普及を主導しています。CIM活用は、公共工事やインフラ整備の生産性向上・コスト削減を目的に実務現場での導入が大きく期待されています。
BIMは主に建築分野で建物の構造や設備などの情報を3Dモデルで管理します。一方、CIMは土木分野で道路や橋梁などインフラの地形・地質情報も統合し、より広範なデータを扱う点が特徴です。それぞれの目的や対象、活用状況などを以下に表でまとめています。
観点 | BIM | CIM |
---|---|---|
対象分野・適用領域 | ビル、住宅、工場、施設など建築物 | 道路、橋梁、トンネル、ダムなど土木構造物やインフラ |
役割 | 建物の設計・施工・維持管理のための3D情報モデル管理 | インフラ(道路・橋梁・ダム等)の設計・施工・維持管理のための3D情報モデル管理 |
モデルの内容と構成要素 | 建物の構造・設備・仕上げ・コスト・工程情報 | 地形・地質・構造物・施工手順・周辺環境など広範な属性情報 |
目的・導入背景 | 民間主導での設計・施工効率化 | 国交省主導での公共事業効率化・透明性向上 |
活用フェーズと流れ | 基本設計〜施工〜FM中心 | 測量〜設計〜施工〜維持管理(社会インフラ全体のライフサイクル) |
導入推進の状況 | 国内外で徐々に拡大 | 国交省発注の公共インフラで原則義務化が進行中 |
使用されるツール・技術 | Revit、Archicad、GLOOBE | Civil 3D、InfraWorks |
関係者 | 建築士、設計者、施工業者 | 発注者、設計コンサル、施工会社 |
国の施策・標準化動向 | 国交省「BIM推進会議」などで普及・標準化が進行 | 「i-Construction」や「CIM導入ガイドライン」で明確に制度設計されている |
BIMは主に建築分野で、高層ビルや病院、商業施設など建物そのものの設計・施工・維持管理に活用され、構造や設備など建物内部の情報を中心に扱います。一方、CIMは土木・インフラ分野が対象で、道路や橋梁、トンネル、ダムなどのインフラ整備に用いられ、構造物だけでなく地形・地質など自然環境の情報も統合的に管理する点が特徴です。
このように、BIMとCIMでは適用分野や対象物が異なるため、目的に合わせて導入を検討するようにしましょう。
BIMは建物の構造や設備など建築物中心の情報を持つ3Dモデルで、主に建物内部の属性情報を統合管理します。一方、CIMは、地形や地質、構造物、道路、交通インフラまで広範な情報を含む3Dモデルで、扱う情報のスケールが大きく、自然環境や周辺インフラも統合管理できる点が特徴です。
これは、建築分野が比較的規格化されているのに対し、土木分野は現場ごとに地形や条件が大きく異なり、より多様で複雑な情報管理が求められることに由来しています。
BIMは、主に設計・施工・ファシリティマネジメント(FM)の各フェーズで活用され、建物の計画から維持管理までを効率的にカバーします。建物完成後も修繕・改修履歴や設備の点検情報を一元管理できます。
CIMは、調査・設計・施工・維持管理と、より長期かつ広範な業務フローに対応し、インフラ整備の初期調査から長期的な保守管理まで3Dモデルを活用できる点が特徴です。一貫した情報管理によって、インフラの長寿命化やコスト最適化に役立ちます。
当サイトでは、ゼネコン・設計事務所・管理会社などの業態別で選べるBIMの外注先の企業を紹介しています。また、BIM導入したい企業に向けて、建物種別で選べるBIMソフトも紹介しているので、自社のニーズに合った企業を選択できるよう、こちらも合わせてご覧ください。
BIM/CIM導入現場の課題として、制度面では標準化やガイドライン整備が進行中で現場対応が追いつかない、人材育成は専用スキルを持つ技術者が不足し教育体制も不十分などが挙げられます。また、初期投資はソフト・ハード導入や人材確保で高額になり、ソフト連携は異なるソフト間でデータ互換性が低く運用が煩雑化、情報標準化は属性情報の入力・管理が煩雑で品質ばらつきも課題です。
CIM固有の課題は、地形や測量データなどの統合管理や精度確保が難しく、現場ごとに運用負担が大きいことなどが挙げられます。
2025年8月調査時点で、日本国内で販売中のBIM/CIMに対応しているソフトは以下の通りです。BIM/CIM両方に対応しているソフトをお探しの方はぜひ参考にしてください。
Archicad(GRAPHISOFT)は、建築設計向けに高度な3Dモデリング、詳細設計や設備設計まで対応し、OPEN BIMやチームによる共同作業などが強みです。
建築・土木の両分野で情報連携や審査プロセスの効率化に活用されています。
Revitは、建築・土木・設備・構造設計まで幅広く対応し、3Dモデリング、パラメトリック設計、相互運用、総合ツールセットなどの多機能が備わっています。
BIM/CIM両対応が進み、建築・土木の境界を越えた情報一元管理が可能です。