国内では、大手ゼネコンによるオフィスビルや生産施設、歴史的建造物の復元、公共施設や研究所の維持管理まで、BIM活用の事例が業種・規模を問わず拡大。設計・施工・維持管理・環境配慮と多様な分野でBIMが活用されているため、ここでは活用事例を紹介します。
以前は、事務所では膨大な数の模型を手作業で作っていました。忙しい時期には学生アルバイトを複数雇い、2DCADで図面を描いた後、模型やCGを一つひとつ作成。お客様へのプレゼンや設計変更があるたびに、それぞれを何度も作り直す必要があり、作業負担が非常に大きいことが問題でした。
BIM導入後、図面管理はもちろん、動画やVR上でのプレゼンまでできるようになり、2〜3人の設計士が必要な仕事量を、設計士プラス11人の大学生で回せるようになっています。
役所仕事なので、とにかくスケジュールが命。「ところが、実施設計も終わっている段階で、繋がっていた建物を切り離すという大きな変更が入ったんです。平面図から立面図、展開図、構造まですべてに絡むことなので、普通にやればどんなにがんばっても2週間はかかる作業でしたが、変更期間はたったの3日。
それがArchicadを使うことでなんとかやりきることができました」部分的に使うのではなくフルBIMで、一つのファイルでまとめて作業していたからこそ実現できた。これが、BIMモデルのメリットを強く実感する出来事だった。
導入前は、お客さまに内装提案する時は、内装材を取り寄せてプレゼンボードを製作。BIM導入後では、壁紙、床材などを3Dモデルに貼り付けるだけで、アングルを変えて見せることもできるし、お客さまと話しながらその場で色味などを変えることもできます。
BIM上で設計した建物と完成した建物との差異がほとんどないことも、お客さまへの信頼に繋がりました。
設計と積算で同時並行的にBIMを詰めていけば、これまで設計→積算→施工と図面を回していたところを設計段階に直接施工サイドからも意見することができるので、かなりの時間短縮になります。
また、先ほど話したように基本設計の段階から施工についての検討ができれば、予算が厳しいときに違った工法の検討をするのもまだ容易な段階なので、コストメリットも大きい。BIMを見ながら施工方法も事前に相談できるし、準備も万全にできていいことづくしです。
これまでは、2Dの図面を見て、頭の中で3Dにするのが技術屋の仕事でした。しかし、頭の中は人には見せられないので、何度説明してもわかってもらえないと頭を抱えることも。
BIM導入後は、2Dだとわかりにくかった構造や資材搬入ルートなどの確認は、BIM上で表現の上書き機能を使えば強調して見ることができるようになり、新入社員や若手社員にも共有しやすくなりました。また、縦断面を見れるのはBIMの一番便利な機能です。
「20年くらい前に、図面が手描きからCADに変わった時に“もう手描きには戻れない”と感じたのと同じ気持ちで、BIMを覚えたらもう2Dには戻れない」
国内の代表的なBIM導入事例を業種・規模別に紹介し、BIM活用による課題解決や業務改善の効果などを具体的な事例をもとに紹介しました。設計・施工現場での手戻り削減や情報共有の迅速化、現場の負担軽減など、BIM導入の実際のメリットやユーザーの声を通じて、BIMの価値と今後の可能性から導入を検討しましょう。
当サイトでは、建物種類別で選べるBIMソフトと企業種別で選べるBIMの外注先の企業を紹介しています。自社のニーズに合ったBIM活用ができるように参考にしてください。
こちらでは、設備設計分野と積算分野におけるBIMの活用事例を紹介しています。それぞれにどのような効果が生み出されたのかを確認し、BIM導入の参考にしてください。
3Dモデルによる設備配置の見直し、配管・ダクトの衝突検証、施工段階での手戻り軽減、省力化を意識した設計などを通じて、設計・施工の効率向上を実現する取り組みを紹介しています。
作業の効率化や精度向上、コスト管理改善を実現した事例に加え、BIMデータと積算システムを連携させた取り組みや、迅速な積算体制を整備した例などを紹介しています。