i-ARM(アイアーム)は、日本の複雑かつ厳格な建築基準法に準拠した設計検証を、3次元モデルの構築と同時に並行して進めることができる国産の3次元建築設計プラットフォームです。
単に建築物の3次元形状をモデリングするだけでなく、敷地条件、地域特性、構造・環境性能といった各種パラメータを立体データベースとして管理し、意匠設計の初期段階から法適合確認までを一気通貫でサポートする思想のもとに開発されています。
本製品が想定しているターゲット層は、迅速な意思決定と確実な事業性評価を両立させたい設計組織です。その適応領域は組織の規模や建物の特性に応じて以下のように分類されます。
高額な海外製BIMソフトの導入費用や、それを操作するための専任オペレーターの雇用、あるいは数ヶ月以上に及ぶ教育・定着コストを捻出することが困難な組織において、極めて有効に機能します。実務に即した直感的な操作性により、短期間での実業務適用が可能です。
土地仕入れの可否判定や、コンペティションにおける初期段階のボリュームスタディを瞬時に行う必要がある組織において、強力な検証ツールとなります。複雑な斜線制限や日影条件を自動的に満たした「最大気積」の算出は、事業計画における最大容積率の確保を決定づける要因となります。
市街地における高さ制限や、敷地境界線からの後退要件が厳しく課せられる中高層集合住宅、テナントビル、変形敷地に建設される商業施設において、特に威力を発揮します。日影規制や天空率といった集団規定が設計の支配的要因となる日本の都市計画環境において、最も本質的な合理性を示します。
企画設計から基本設計、確認申請のための図書および整合図面の作成、さらにはモデル建物法による省エネルギー適判定に必要な算定シート・根拠図の自動作成業務をカバーします。これにより、施工図や詳細設計の一部を専門とする領域よりも、設計の「上流工程(フロントローディング)」においてデザインと法規制の整合性を担保するプロセスに最も適合しています。
当サイトでは、公共施設・住宅・商業施設など建物種類別に適したBIMソフトを紹介しています。BIMソフトをご検討の方は、ぜひ参考にしてください。
i-ARMが海外発のハイエンドBIMソフトに対して明確な差別化を図っている特徴は、日本の建築実務における最大のボトルネックである「法適合検証のプロセス」を設計と完全に同期させている点にあります。
i-ARMは、敷地や道路、周辺の境界条件を入力することにより、建築可能な限界の空間容積(鳥かご形状)を自動生成します。さらに最新バージョンでは、逆天空率計算の切削方法に「後退型」が追加され、設計者が意図する建物配置や後退距離を考慮した、より高精度で実現性の高いボリュームモデルの自動取得が可能となりました。
一般的なBIMツールでは、デザインした形状に対して日影計算や天空率計算を後段で適用しますが、i-ARMは「法規を満たす最大空間をあらかじめ抽出し、その内部でデザインを煮詰める」という逆向きのアプローチを標準機能として実現しています。
意匠モデリングを行いながら、国土交通省の「モデル建物法」に準拠した非住宅の省エネルギー計算を、Web APIを介して直接実行できるため、適合性判定用の入力シートや各種根拠図面をBIMモデルから自動的に生成できます。
また、構造分野の共通フォーマットである「ST-Bridge Ver.2」形式の読み込みに対応しており、構造計算ソフト(構造モデラー+NBUS7等)の建物データを3Dビューア上で正確に可視化し、設計初期段階における意匠・構造の干渉・デザイン調整を円滑に進めることができます。
i-ARMのユーザーインターフェース(UI)および操作プロセスは、日本の多くの設計者が馴染み深い「2D平面図の作図感覚」を残しながらも、容易に3次元情報モデルへと移行できるよう入念に設計されています。
使用頻度の高いコマンドや属性情報を常に表示しておくことができる「ドッキングウィンドウ」を採用しており、画面のレイアウトは視覚的かつ直感的です。コマンド選択時にパラメータウィンドウが自動で切り替わる「コマンドシート」や、要素が複数重なり合っている複雑な部位をクリックした際に選択候補を一覧表示する「選択候補リスト表示モード」などを備え、細部のモデリングミス or 誤操作を防ぐためのガイド補助機能が充実しています。
また、コマンドを実行しなくともスラブや壁の頂点をマウス操作のみで伸縮・変形・移動できる「直接編集」機能により、粘土を成形するかのようにスピーディな空間プランニングを可能にしています。
一般に、海外製BIMソフトの導入時に問題となる「膨大なパラメータ入力に追われ、本来の設計業務の時間が圧迫される」という懸念に対して、i-ARMは合理的な回避手段を提供します。
i-ARMの導入にあたんは、複雑な初期費用やアップデートごとの更新費用が不要な、非常に明快な年間使用料(サブスクリプション)方式が採用されています。
契約期間の長さに応じて割引率が適用される仕組みになっており、事務所の事業スパンに応じたプラン選定が可能です。現在の料金体系(すべて税込価格)は以下の表の通りです。
| ライセンスプラン(使用期間) | 導入費用(税込価格) | 1カ月換算あたりの実質費用 |
|---|---|---|
| 1年間使用プラン | 132,000円 | 11,000円 |
| 3年間使用プラン | 356,400円 | 9,900円(複数年割引適用) |
| 5年間使用プラン | 528,000円 | 8,800円(複数年割引適用) |
※最新の価格改定状況、複数ライセンスの割引、および購入手続きに関する詳細は、株式会社建築ピボット公式 価格ページ(https://www.pivot.co.jp/product/iarm/price.html)より確認できます。
i-ARMには30日間の無料体験版が用意されています。オンラインによるライセンス認証を行うことで、30日間にわたり製品版と完全に同一の仕様(データの保存、他形式ファイルへのエクスポート、各種確認申請根拠図面の出力、省エネAPI連携など)を一切の制限なく検証することができます。
ライセンスの有効期限(30日間)を過ぎた場合、またはライセンス認証が正しく実行されていない状態においては、データの保存・出力機能が制限された「機能制限版(ビューアーモード)」としてのみ起動する仕組みになっています。
i-ARMが設計実務に組み込まれ、どのような費用対効果やプロセス改善を生み出しているのかについて、公式の活用事例を交えて解説します。
2000年に設立され、2004年 JIA新人賞「伊達の援護寮」や2008年 JIA日本建築大賞「児童心理治療施設」など、数々の賞を受賞している株式会社藤本壮介建築設計事務所。設立者の藤本壮介様は、東京、パリ、深圳にオフィスを構え、海外でも多くの作品を生み出されている建築家です。住宅から公共施設まで多くのプロジェクトが進行しており、現在は「2025年大阪・関西万博」の会場デザインプロデューサーとしても活躍しています。
同事務所の設計部長である岩田正輝様によると、複数の日影計算や天空率ソフトを検討する中で、UIと操作性の観点から「i-ARMが最も実務に馴染む」と判断し導入を決定。意匠デザインのメインツールである「Rhinoceros」との親和性が極めて高く、デザインしたモデリングデータを一から手動入力し直す無駄な手戻りを完全に解消できたことで、「検討するスピードが上がります」と評価されています。法規確認と形状検討がスムーズに連動した結果、限られた時間の中で試行錯誤できるプランの回数が大幅に増大し、提案物のクオリティ追求に大きく貢献しています。
参照元:株式会社建築ピボット公式HP(https://www.pivot.co.jp/case/20th_users_voices_05.html)
大阪・阿倍野区にある築90年超の長屋の一角で、建築設計を手がける一級建築士事務所 連・建築舎様です。「住まい手が関わる空間づくり」を大切にし、長屋や古民家のリノベーションを中心に、年間20件以上のプロジェクトを手がけられています。カフェが併用されており、元気なお子さまたちの声が行きかう事務所です。
代表の伴現太様によると、以前は別の設計ソフトで天空率の計算を行っていましたが、i-ARMを導入してからはそのフローが一変したとのこと。「DRA-CADでも天空率の計算はできますが、i-ARMのほうが圧倒的に早いため、現在はi-ARMのみで天空率の検討を行っています」と評価されています。ボタン一つでスピーディに検討が完結するため、土地のポテンシャルを最大限に活かしたボリュームプランの提示を迅速に行えるようになりました。さらに、i-ARMで作成した大まかな3Dモデルのパース下絵をiPad用のペイントソフト(Procreate)に取り込んで手書きで風合いを着彩することで、クライアントが求める暖かみのある世界観と論理的に担保された法規適合性をスピーディに両立・提案する独自の仕組みを構築しています。
参照元:株式会社建築ピボット公式HP(https://www.pivot.co.jp/case/20th_users_voices_16.html)
他ソフトとの互換性が良くスムーズにボリュームチェックが行える点が藤本壮介建築設計事務所様における導入の決め手となりました。設計のメインとなるRhinocerosからのモデリングデータをそのまま渡せるため、ソフトごとに入力をし直す手間がありません。プランを検討するスピードが格段に上がり、試行錯誤の回数が増えたことで、限られた時間の中でも成果物のクオリティ向上に繋がっています。細かなプランを組む前に、高さ制限や日影、天空率といった建築基準法をクリアしているかを効率的に確認できています。
参照元:株式会社建築ピボット公式HP(https://www.pivot.co.jp/case/20th_users_voices_05.html)
i-ARMでの天空率の検討は非常にしやすく作業が圧倒的に早いため、一級建築士事務所 連・建築舎様では現在i-ARMのみで天空率のスタディを行っています。以前使用していたCADでも計算は可能でしたが、i-ARMはソフト自体が非常に軽いためスムーズに進められます。模型の代わりに1時間ほどで大まかな3Dモデルを作成し、空間構成やレイアウトを把握できるのも魅力的。出力したパース下絵にiPadで手描き着彩を行うなど、クライアントへの迅速なバリエーション提案や打ち合わせのスピード向上に役立っています。
参照元:株式会社建築ピボット公式HP(https://www.pivot.co.jp/case/20th_users_voices_16.html)
i-ARMに内包されている実務支援機能、対応する各種ファイル形式、および3次元データベースから派生する各種図面の連動性について解説します。
| 機能名 | 機能の特徴 |
|---|---|
| デザイン・モデリング | 平面、立面、断面、さらにパースや断面パースを自在に切り替えながら意匠プランを策定可能。陰影のアニメーションやウォークスルーによる検討が行えます。 |
| 日影・集団規定 | 時刻日影、等時間日影、逆天空率に基づいた建築可能範囲の自動切削などに対応。道路・隣地・北側斜線規制の3Dリアルタイム「鳥かご形状」表示が可能です。 |
| 単体規定(LVS) | 居室の採光(Light)、換気(Ventilation)、排煙(Smoke)に関する適合可否を、窓・室種情報に基づき自動判定。有効な開口面積を算定するための根拠図面等が出力されます。 |
| 防火・避難安全 | 防火・防煙区画における面積集計や、居室から直通階段等に到達するための重複歩行経路長さを自動計算。歩行経路図や検証図面のCAD出力ができます。 |
i-ARMがサポートする主要な対応形式は、標準BIMデータであるIFC形式をはじめ、構造連携用のST-Bridge形式、意匠デザイン用のRhino 3D形式、DRA-CADネイティブ形式、そして業界標準であるDWG・DXF・JWWなど、非常に幅広い汎用CAD・BIMファイルに対応しています。これにより、他社CADシステムとのスムーズな親和性を実現しています。
※なお、構造データ連携の核となる「ST-Bridge Ver.2.0.x」規格は、buildingSMART Japanのロードマップにおいて2027年末にサポート終了が予定されているため、将来的な新規格への対応方針なども含めて今後のアップデート動向が注目されます。
i-ARMは、単一の3次元データベースから平面・断面・パース等の図面表示情報を動的に算出する仕組みを持つため、図面間の矛盾が発生しません。
例えば、採光補正(LVS)計算においては、対象居室の床面積(Ar)、各開口部の実開口面積(Wi)、採光補正係数(Ci)を用いて、有効採光面積(L)と法定制限比率(Fr)を検証しますが、この一連の評価数式がBIMモデルに埋め込まれています。
・有効採光面積 L = 算出窓の合計(Wi × Ci)
・判定基準:L ≧ Ar × Fr
設計者が3Dビュー上で部屋の外観や窓の位置・サイズを変更すると、裏側で有効開口面積 L の計算式が自動で再計算され、OK/NGフラグがリアルタイムで反映されます。適合判定された情報は、「採光算定平面図・算定表」として即座に図面枠内にマッピングされ出力可能となります。
同様に、避難経路計算においても、実歩行距離(D)が法定義務づけられた最大歩行制限距離(D_limit)以下であるか否かが瞬時に評価されます。
・判定基準:実避難歩行距離 D ≦ D_limit
自動判定された避難歩行ラインは、各階平面図および確認申請用検討図面へ連動して出力される仕組みになっています。
i-ARMを実務で快適に運用するにあたり、メーカー提示の要件等を踏まえた標準的な動作推奨スペックは以下の通りです。高精細ディスプレイや4K以上の解像度表示にも標準対応しています。
| OS | Windows 11(※Windows 11 S版、およびARM製プロセッサ搭載PCは対象外) |
|---|---|
| CPU | Intel Core i7 または Intel Ultra 7 以上を推奨 |
| RAM(メモリ) | 16GB 以上推奨 |
| ストレージ | 2GB 以上のディスク空き容量(ローカル領域) |
| GPU | DirectX 11、およびOpenGL機能をフルサポート可能なGPUカードおよび最新ドライバー |
| その他必須 | Microsoft Excel デスクトップ版(仕上表や建具表のExcel出力時に必須) |
※上記は、3D点群データの処理や複雑な逆日影シミュレーションなどを実務においてストレスなく稼働させるための、一般的なBIM運用に基づく推奨環境となります。
i-ARMの供給・販売体制は、近年の国内建築IT業界における重大な企業合併によって新体制へと移行しています。i-ARMの販売・開発を長年担ってきた「株式会社建築ピボット」は、親会社である国内建築構造解析ソフトウェアの大手ブランド「株式会社構造システム」に吸収合併されました。これに伴い、全製品ポートフォリオは構造システムへと経営統合され、同一の販売・サポート体制下でブランドが継続・維持されています。
| 会社名 | 株式会社構造システム |
|---|---|
| 所在地 | 〒112-0014 東京都文京区関口2-3-3 目白坂STビル 6階 |
| 公式HP | https://www.kozo.co.jp |
国産BIM「i-ARM」は、海外製の統合型ソフトの後追いではなく、「日本の都市部での基本設計・確認申請・ボリューム選定」に非常に強いアドバンテージを持つユニークなツールです。設計事務所や開発企業におけるBIM環境構築は、各ソフトの得意分野を活かして柔軟に組み合わせることが最適です。
土地検討の仕入れフェーズやコンペ等で、スピーディに最大可否ボリュームと法適合チェックを判定し、事業計画の手戻りをなくしたい組織や、Jw_cadなどの2Dデータ資産を最大限に活用し、最も低い教育コストと学習負荷で効率的なBIMプロセスを段階的に構築したい組織にとって、年間13万円台から運用できるi-ARMは非常にコストパフォーマンスに優れた選択肢となります。メインの意匠ツールと上手く組み合わせてハイブリッドに運用していくことが、実務の生産性を高めるスマートなアプローチと言えるでしょう。