AEC Collection(Architecture, Engineering & Construction Collection)は、Autodesk社が提供する建築・土木・構造・設備分野向けのソフトウェアをまとめたバンドル製品です。意匠設計用のRevitやAutoCADだけでなく、土木・インフラ設計のCivil 3D、構造解析のRobot Structural Analysis Professional、設備詳細設計のFabrication CADmep、干渉チェック用のNavisworks Manageなど、工程や分野をまたいで使う複数のソフトを、まとめて1つの契約で利用できる点が大きな特徴です。
そのため、意匠・構造・設備・土木のいずれか1分野に特化した業務が中心の会社よりも、社内に複数分野の設計者が在籍し、Revit以外にCivil 3DやNavisworksなど2〜3本以上のAutodesk製品を組み合わせて使う(または使う予定がある)会社に向いた製品だといえます。逆に、意匠設計のみに特化していてRevit以外のソフトをほとんど使わない会社であれば、単体ライセンスの契約や、意匠設計に特化したArchicad(Graphisoft)のような製品のほうが、費用対効果の面で選択肢に入りやすい場合もあります。自社の主な業務範囲が意匠設計に閉じているか、構造・設備・土木にまたがるかを、まず整理しておくとよいでしょう。
当サイトでは、公共施設・住宅・商業施設など建物種類別に適したBIMソフトを紹介しています。BIMソフトをご検討の方は、ぜひ参考にしてください。
同カテゴリの「Revit(Autodesk)」ページでは、Revit単体ライセンスとしての価格・機能を紹介していますが、AEC CollectionはRevitを含む上位バンドルという位置づけです。両者の違いを整理すると、次のようになります。
本サイトのRevitページでは、単体ライセンスの年間価格を税込473,000円として紹介していますが、2026年7月にオートデスクのサブスクリプション製品全般で価格改定が行われており、代理店の表示では51万円台(税込)程度まで上昇しているケースも確認できました。最新の単体価格は「Revit(Autodesk)」のページ、またはAutodesk公式サイトで確認することをおすすめします。
判断の目安としては、「Revit以外に恒常的に使っているAutodesk製品が1つでもある」「今後1年以内にCivil 3DやNavisworksなどの追加導入を検討している」という会社であれば、AEC Collectionへの切り替えを比較検討する価値があります。逆に、Revit以外の製品を使う予定がなく、意匠設計の範囲で完結している会社であれば、無理にコレクションへ切り替える必要はなく、Revit単体のままで十分なケースも多いといえます。
Autodesk公式サイトによると、AEC Collectionには意匠・構造・設備・土木の各分野に対応する複数のソフトウェアが含まれています。含まれるソフトの構成は、共通して含まれるものと、専門分野ごとに使うものに分かれます。
| 分類 | 含まれる主な製品 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 共通 | Revit | 意匠・構造・設備のBIM統合設計 |
| 共通 | AutoCAD(AutoCAD Plus) | 2D・3D CAD、業種別ツールセット |
| 共通 | Navisworks Manage | 干渉チェック・工程調整 |
| 共通 | Forma Data Management | クラウド共通データ環境でのプロジェクト情報管理 |
| 意匠・企画設計 | Forma(Building Design/Site Design) | 企画・概念設計、敷地計画 |
| 構造 | Robot Structural Analysis Professional | 構造解析・法規適合確認 |
| 構造 | Advance Steel | 鉄骨詳細設計・製作図 |
| 設備 | Fabrication CADmep | 設備詳細設計・製作 |
| 土木 | Civil 3D | 土木設計・施工図書作成 |
| 土木 | InfraWorks | 地形・インフラの計画検討(BIM/CIM) |
| 可視化・調査 | ReCap Pro | 点群データ・3Dスキャンの取り込み |
| 可視化・調査 | 3ds Max/Autodesk Rendering | 3Dビジュアライゼーション・レンダリング |
| 環境性能 | Insight | 建物のエネルギー・環境性能解析 |
含まれる製品構成は年度・バージョンによって見直されることがあります。古い比較記事の中には、現在は含まれていないFormIt ProやRevit Liveなどを掲載しているものも見られたため、契約前には必ずAutodesk公式サイトの最新ページで構成を確認することをおすすめします。
AEC Collectionの価格は、Autodesk公式サイトと各代理店とで表示の仕方が異なり、代理店によって表示額に幅があります。断定的な金額ではなく、確認できた実勢の目安として紹介します。
| 情報源 | 契約形態 | 表示価格(税込) |
|---|---|---|
| Autodesk公式サイト(日本語版) | 1年契約・新規・シングルユーザー | 632,500円/年 |
| CGiN(ボーンデジタルストア) | 新規・更新(1年/3年) | 632,500円から |
| ボーンデジタル製品ページ | 1年契約・新規 | 625,900円(税別569,000円) |
| 専門店CAD百貨 | 3年契約・更新 | 1,898,600円(3年総額) |
これらを踏まえると、1年契約(シングルユーザー・新規)はおおむね税込55万円台後半〜63万円台程度、3年契約は税込190万円前後(年あたり63万円前後)が実勢の目安といえます。専門店CAD百貨のページによると、2026年7月7日にオートデスクのサブスクリプション製品全般で価格改定が行われたとのことで、改定前の情報を掲載したままの記事やページでは、より低い金額(55万円前後)が表示されている場合があります。見積もり時期によって金額が変動しうる点に注意してください。
Autodesk公式サイトでは、分野別に「単体で複数ソフトを契約した場合」との比較も示されています。参考として紹介します。
| 分野 | 単体購入した場合の年間価格(税込目安) | AEC Collection年間価格(税込) | 差額(節約額の目安) |
|---|---|---|---|
| 建築設計者 | 898,700円 | 632,500円 | 266,200円 |
| 構造エンジニア | 1,224,300円 | 632,500円 | 591,800円 |
| MEPエンジニア | 777,700円 | 632,500円 | 145,200円 |
| 土木エンジニア | 935,000円 | 632,500円 | 302,500円 |
| 施工管理者 | 1,265,000円 | 632,500円 | 632,500円 |
ただしこの比較は、各分野で紹介されている複数ソフトを単体ですべて契約した場合との比較であり、実際に自社が使う予定のソフトが1〜2本程度であれば、単体契約のほうが安く済むケースもあります。自社が実際に使う(使う予定がある)ソフトの本数を先に洗い出したうえで、単体契約の合計額とAEC Collectionの価格を比較することをおすすめします。BIMソフト全体の価格の考え方は「BIMソフトの価格や相場は?導入費用を試算」でも解説しています。
Autodesk公式サイト(日本語版)には、AEC Collectionに含まれる各ソフトウェアの体験版をダウンロードできる導線が用意されており、無料体験版は用意されています。また、公式サイトには「最長30日間の返金保証」が明記されています。
なお、米国版のAutodesk公式サイトには「3年間の価格ロック(Lock in your price for 3 years)」という記載があり、3年契約であれば契約期間中の価格改定の影響を受けにくいことを示唆しています。ただし、日本語版の公式サイトでは同様の記載を確認できませんでした。日本での3年契約における価格ロックの適用有無は、購入前にAutodesk公式窓口または販売代理店に確認することをおすすめします。
AEC Collectionの実績や事例は、公式ホームページに記載されておらず、見つかりませんでした。なお、AEC Collectionに含まれる個別製品(RevitやCivil 3Dなど)については、各社公式サイトや販売代理店のサイトに導入事例が掲載されている場合がありますが、それらは「AEC Collection」という契約形態としての事例ではなく、個別ソフトの活用事例である点にご注意ください。
公式HPに口コミはありませんでした。
AEC Collectionの機能は、含まれる各ソフトウェアの機能を組み合わせたものになります。主な機能領域を整理すると、次のようになります。
AEC Collectionに含まれる各ソフトは、それぞれ標準的なファイル形式に対応しています。Revitはネイティブ形式のRVTに加えてIFC形式の入出力に対応しており、AutoCADは業界標準のDWG形式を扱います。Navisworks Manageは複数分野のモデルを統合するNWC/NWD形式、ReCap Proは点群データのRCP/RCS形式に対応しています。また、Forma Data Managementやクラウド共同編集機能を通じて、複数拠点・複数分野の担当者が同じプロジェクトデータにアクセスする運用にも対応しています。
ただし、協力会社が使用しているソフトとの実際のデータ連携(属性情報の保持範囲など)は、IFCのバージョンや運用ルールによって差が出ることがあります。導入前に、実際の案件データに近いサンプルで連携を検証することをおすすめします。
公式HPに記載がありませんでした。AEC Collectionは複数のソフトウェアをまとめたバンドル製品であるため、動作環境はRevit・AutoCAD・Civil 3Dなど含まれる製品ごとに個別のシステム要件ページが用意されています。導入予定の製品が決まっている場合は、各製品のAutodesk公式サイト内システム要件ページで確認することをおすすめします。
| 会社名 | オートデスク株式会社 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都港区虎ノ門1-23-1 虎ノ門ヒルズ 森タワー 8F |
| 電話番号 | 0120-430-140 |
| 公式HP | https://www.autodesk.com/ |
AEC Collectionは、Revitを含む複数のAutodesk製品をまとめて契約できるバンドル製品です。意匠設計に加えて構造・設備・土木など複数分野を横断して設計する会社や、Navisworksでの干渉チェック・Civil 3Dでの外構設計まで自社で行う会社にとっては、単体契約より総額を抑えられる可能性があります。一方、Revit以外のソフトを使う予定がない場合は、単体ライセンスのままで十分なケースも多く、まずは自社が実際に使うソフトの本数を洗い出すことが比較の第一歩です。当サイトでは、建物の種類や業務内容別におすすめBIMソフトを厳選して紹介する「BIMソフト3選をニーズ別で紹介」のページもご用意していますので、あわせてご確認ください。