BIMと2D図面の併存に悩む企業向け
BIMを導入しても、モデルを直した後にCAD図面を描き直していれば、作業は二つに増えます。負担の原因は2D図面そのものではなく、同じ情報を別の場所で管理し、別々に更新することです。
最初に決めたいのは、各工程で情報を置く場所です。形状や寸法はモデルで管理し、図面上でしか伝えられない注記は2Dで補う。変更が出たときの更新者と承認者も、ここで決めておくと後がぶれません。
提出形式への対応、図面上で伝えるための補足、既存CADでしか扱えない表現。BIMを導入した後も、2D図面を使う局面は残ります。
見るべきは、2Dを使っているかどうかではありません。同じ壁・建具・設備・寸法をBIMモデルと2D CADの両方で独立して管理していないか。片方を直してももう片方へ反映されない状態が、描き直しと照合を生みます。
官庁営繕事業のBIM活用ガイドラインでも、BIMモデルに必要な2D加筆を行って設計図書を作成する方法とともに、BIMモデルと連動しない図面表記やCADで修正する箇所を図面別に整理する方法が示されています。官庁営繕向けの考え方ですが、民間案件でも連動しない箇所を見える化する手順として参考になります。
※参照元URL:国土交通省 官庁営繕部(https://www.mlit.go.jp/gobuild/content/001733648.pdf)
全図面を一度にBIM化する必要はありません。まずは変更が多い図面や、複数部署が参照する図面など、二重更新の影響が大きい範囲を選ぶのが現実的です。
平面変更、設備機器の変更、建具変更など、最近発生した変更を選びます。指示を受けてから承認まで、誰がBIMと2D CADのどちらを直したかを書き出すと、二重入力と確認待ちが起きている場所を特定できます。
平面図、断面図、詳細図、集計表を並べ、モデルと連動させる情報、2D加筆で補う情報、既存CADを使う情報に分けます。「基本はBIM」だけでは、例外が出たときに従来の二重作業へ戻りがちです。
モデル、図面、PDF、メール添付のどれを確認の基準にするかを工程ごとに決めます。あわせて、更新担当、承認者、受け渡す形式、モデルに戻す必要がある2D修正の扱いを一枚にまとめます。
一つの階や代表的な住戸タイプなどで、変更をモデルへ反映し、必要な図面を出して、承認まで進めます。作図時間だけでなく、2D加筆の量、確認にかかった時間、手で戻した箇所も残してください。次に広げる範囲を判断しやすくなります。
建築分野におけるBIMの標準ワークフローに関する国土交通省のガイドラインでは、BIMとBIM以外の手法を活用目的や関係者の環境に応じて使い分け、設計から施工への受け渡しで変換や再入力が必要になる場合は、対応方法を事前に協議することが示されています。
※参照元URL:国土交通省 建築BIM推進会議(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/content/002012930.pdf)
例外的な2D修正を完全になくせないこともあります。そのときに迷いやすいのが、修正した情報をモデルへ戻すべきか、図面上の補足として残してよいのかという判断です。
| 情報の例 | 基本の扱い | 確認すること |
|---|---|---|
| 形状・寸法・部材・機器の位置 | モデルを更新し、必要な図面へ反映する | 他の図面、干渉確認、数量、次工程へ影響するか |
| 注記・凡例・一時的な説明 | 図面上の2D加筆として扱う | モデル属性として管理する必要があるか |
| 既存CADでしか修正できない表現 | 修正箇所と、モデルへ戻す要否を記録する | 次の変更時に二重更新が必要になるか |
国土交通省のガイドラインでも、受け渡す情報の種類・形式・詳細度、モデリング・入力ルール、承認や変更履歴などの情報管理ルールを事前に明確にする考え方が示されています。
※参照元URL:国土交通省 建築BIM推進会議(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/content/002012930.pdf)
代行は、BIMの判断まで外へ任せる方法ではありません。社内で設計方針や優先順位を決めながら、モデル作成、ルールに沿った修正、図面出力といった実作業を補うための選択肢です。
既存の2D図面をもとにしたモデル作成や、決めたルールに沿う図面更新のように、対象範囲を切り出せる場合は検討しやすくなります。一方で、仕様変更の決定や最終成果物の承認まで曖昧なままでは、確認や手戻りが増えるおそれがあります。
依頼前には、対象工程、対象分野、入力資料、必要な詳細度、納品するモデル・図面、確認の窓口を一枚にまとめます。BIM活用の体制では、作業の担当者と運用・調整を担う担当者の役割、作業範囲、詳細度、期限を事前に明確にする考え方が示されています。
※参照元URL:国土交通省 建築BIM推進会議(https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/content/002012930.pdf)
いいえ。2D図面の提出や図面上の補足が必要な場面はあります。なくすべきなのは、同じ情報をBIMと2D CADで別々に更新する状態です。モデルと連動させる情報、2Dで補う情報、既存CADを使う情報を分けてください。
設計変更が多い図面、複数部署が参照する図面、モデルから出力しやすい平面図や断面図などから始めます。作図時間だけでなく、変更後の確認時間や2D加筆の量も記録すると、次に広げる範囲を判断できます。
修正内容が形状・寸法・部材・機器の位置に関わる場合は、モデルへ戻す担当者と期限を決めます。図面上の一時的な注記であれば、2D加筆として管理する方法もあります。どちらに当たるかの判断基準を、案件開始時に共有しておくことが重要です。
対象工程、作業範囲、使用ソフト、入力資料、詳細度、納品形式、変更指示の窓口、成果物の承認者を決めます。依頼範囲が具体的であるほど、必要な作業量と社内に残す判断を分けやすくなります。
一度にすべてを変える必要はありません。変更が多い図面や、作図量が不足している工程から対象を絞り、モデル化・図面化・更新作業をどこまで切り出せるか整理してください。
社内に判断・承認できる担当者がいる一方で、BIMの実作業が追いつかない場合は、BIM代行の活用も選択肢になります。