SketchUpは、米国Trimble Inc.が開発・提供する3Dモデリングソフトです。もとはGoogleが提供していたが、2012年にTrimbleが買収し、現在の「Trimble SketchUp」となりました。直感的な操作性から、意匠設計の初期段階(ボリュームスタディ・パース作成)や、施工現場での簡易的な3D検討ツールとして、建築・土木業界で幅広く使われています。
本ページは、「SketchUpを導入したいが、BIM専用ソフトとの違いがよくわからない」「すでにSketchUpを使っているが、このままBIMワークフローに組み込めるのか知りたい」という担当者に向けて、SketchUpがBIMソフトと呼べるのかという位置づけの整理、BIM専用ソフトとの役割分担・データ連携の具体的な方法、価格プラン、日本国内の提供企業までを中立的な立場から解説します。
当サイトでは、公共施設・住宅・商業施設など建物種類別に適したBIMソフトを紹介しています。BIMソフトをご検討の方は、ぜひ参考にしてください。
結論から言うと、SketchUpは「BIM専用ソフト」ではありません。RevitやArchicadのように、壁・柱・設備といった建材ごとに構造化された属性情報(材質・コスト・法規情報など)を標準搭載しているわけではなく、あくまで「3Dモデリングソフト」として設計されています。
ただし、これは「BIMワークフローで使えない」という意味ではありません。SketchUpは、IFC形式でのデータ入出力やTrimble Connectを介した情報共有に対応しており、BIM専用ソフトと組み合わせることで、BIMプロセスの一部(特に構想・概念設計の段階)を担うことができます。この「BIM専用ソフトではないが、条件付きでBIMワークフローに組み込める」という位置づけが、SketchUpを検討する上での正しい理解になります。
具体的には、以下のような役割分担が現実的です。
意匠設計を本格的にBIM化していきたい場合、初期段階のみSketchUpを併用し、実施設計以降はBIM専用ソフトへ移行する使い方が現実的です。最初からBIM専用ソフト1本での運用を検討している場合は、Archicad(Graphisoft)のような属性情報管理に強いBIM専用ソフトも比較検討すると良いでしょう。
Trimble公式ブログでは、SketchUpを起点とした「4段階のBIMワークフロー」が紹介されています。BIM専用ソフトとどう連携させるかの具体像として、以下に整理します。
「Add Location」機能で敷地の位置情報を取得し、周辺の建物・道路などの文脈情報を取り込みます。点群スキャンデータを取り込める拡張機能(Trimble Scan Essentials)で実測データをベースに設計を開始し、気候データに基づくエネルギー性能分析(Sefaira)も、この段階で実施可能とされています。
Trimble Connectにアップロードした概念設計モデルは、構造解析ソフト「Tekla Structures」に直接インポートでき、その際にIFC形式の属性データが保持されるとしています。設備(MEP)の専門家も同じTrimble Connect上のモデルを参照でき、単一のアップロードで複数のソフトウェア・職種が同じ情報にアクセスできる点が特徴です。
関係者が作成した各モデルがTrimble Connect上の共通データ環境に統合され、3D表示上での干渉チェック(衝突検査)が行いやすくなるとされています。LayOut機能を使えば、SketchUpモデルから2D図面や提示資料も作成できます。
鋼材加工用のデータはTekla Powerfabで作成し、「Trimble Connect AR」を使うと、現場の実況とモデルを重ね合わせて進捗を可視化できるとしています。Viewpointと連携すればプロジェクト管理も一元化でき、現場と事務所間の情報連携を効率化できるとしています。
この4段階はTrimble製品(Tekla・Trimble Connect)を軸にした構成のため、実際の導入では自社が使うBIM専用ソフトとのIFC連携精度を必ず個別に確認する必要があります。特にRevitとの連携を重視する場合は、後述するSketchUp Studioの「Revit Importer」機能が実務上の入口になります。
SketchUpは現在、Go・Pro・Studioの3つのサブスクリプションプランを中心に提供されています。買い切り(永続ライセンス)版は現行ラインナップには存在せず、すべて年間契約のサブスクリプション形態です。買い切りでBIM対応ソフトを導入したい場合は、以下のページで他の選択肢を確認してください。
日本国内での価格は、日本正規販売代理店である株式会社アルファコックス(SketchUp Pro Japan)のサイトを基準にすると、以下の通りです(2026年9月時点、年額・1年契約)。代理店・掲載ページによって表示価格に差が見られるため、実際の見積り・購入時は必ず最新のページで確認してください。
| プラン | 年額(税込) | 主な用途 |
|---|---|---|
| SketchUp Go | 35,123円 | Web・iPad中心の簡易モデリング |
| SketchUp Pro | 94,413円 | デスクトップ版+LayOut、拡張機能利用 |
| SketchUp Studio | 198,253円 | Revit Importer・点群処理まで含む最上位版 |
参考として、Trimble公式(米国サイト、ドル建て・グローバル価格、2026年9月時点)ではGoが年額129ドル、Proが399ドル、Studioが859ドルとされています。為替や日本での代理店経由の販売形態により、日本国内価格とは単純比較できない点に注意してください。
プランごとの機能差は、BIM用途で重要な項目に絞ると以下の通りです。
| 機能 | Go | Pro | Studio |
|---|---|---|---|
| デスクトップアプリ・LayOut | × | 〇 | 〇 |
| Trimble Connectでの共同作業 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 拡張されたIFC/DWG互換性 | × | 〇 | 〇 |
| 点群データ対応(Scan Essentials) | × | × | 〇 |
| Revit Importer | × | × | 〇 |
| 対応OS | Web/iPad | Windows・Mac | Windowsのみ |
BIMワークフローへの組み込みを前提とするなら、拡張IFC互換性が使えるPro以上が事実上の最低ラインです。Revitとのモデル連携まで見据える場合は、Studio一択になります(Windows専用である点に注意してください)。なお、無料でSketchUpを試す方法としては、常設の無料プランではなく、7日間の無料トライアルや、教育機関向けの「SketchUp for Schools」が用意されています。他のBIMソフトの無料版・無料体験版とあわせて検討したい場合は、以下のページも参考にしてください。
日本正規販売代理店であるアルファコックス公式ブログで紹介されている導入事例を紹介します。
施工マネジメントや安全検討の場面でSketchUpを活用している事例が紹介されています。3Dモデル上で施工手順や仮設計画を検討することで、関係者間の認識合わせに役立てているとされています。
インテリア・内装分野での活用事例が紹介されています。
企画・計画段階での立案やプレゼンテーション用途での活用事例が紹介されています。
いずれも日本正規代理店であるアルファコックスの公式ブログに掲載された事例であり、Trimble本体の公式事例ページとは別の情報源です。より詳しい内容は、各社名で検索の上、アルファコックス公式ブログの該当記事を確認してください。
公式HPに口コミはありませんでした。
参考情報として、第三者のレビューサイトであるITreviewには、2026年9月時点で14件のレビューが投稿されており、総合評価は5点満点中4.3点となっています(あくまで第三者投稿によるものであり、Trimble・国内代理店による公式評価ではない点にご留意ください)。
SketchUp Pro/Studioでは、拡張されたIFC・DWG互換性が用意されており、他のBIM専用ソフトとのデータ受け渡しに対応しています。Studioではこれに加えて、RevitモデルをSketchUp上に読み込める「Revit Importer」機能が搭載されており、BIM専用ソフト側で作成されたモデルを意匠検討・プレゼン用途で再利用したい場合に活用できます。IFC属性の保持精度を高めたい場合は、拡張機能(SketchUp-IFC-Manager等)の併用も選択肢になります。
このほか、LayOutによる2D図面・プレゼン資料の作成、3D Warehouseでの部材データ共有、Trimble Connectを介したクラウド上の共同作業に対応しています。
SketchUp StudioはWindows OSのみの対応です(Mac版はBoot Camp環境での動作は可能とされていますが、公式のサポート対象外です)。Go・Proについては、Windows・Mac双方に対応しています。
| 項目 | Windows | Mac |
|---|---|---|
| OS | Windows 11 | macOS 14以降(Apple M1以降推奨) |
| プロセッサ | 2GHz以上 | 2.1GHz以上またはApple M1以降 |
| メモリ | 8GB以上 | 8GB以上 |
| ディスク空き容量 | 6GB以上 | 6GB以上 |
| グラフィックス | OpenGL 3.1以上対応、8GB VRAM推奨(PBR機能利用時は32GB推奨) | OpenGL 3.1・Metal 2対応、1GB以上のVRAM |
2024年以降のバージョンでは新しいグラフィックスエンジンが採用されており、古いグラフィックカードでは動作しない場合があります。導入前に、利用中のPCが最新の推奨環境を満たしているか確認しておくと安心です。
SketchUpの開発元は米国Trimble Inc.です。日本国内では、2003年設立の株式会社アルファコックスが「SketchUp Pro Japan」として長年、正規販売代理店を務めています。なお、2024年4月以降は株式会社ニコン・トリンブル、2025年10月以降はTD SYNNEX株式会社もSketchUpの取扱いを開始しており、日本国内の購入チャネルは2024年以降、複数化が進んでいます。どのチャネルも正規のライセンスを扱っていますが、取扱範囲や販売形態(ライセンス単体か、導入サポート込みかなど)が異なる場合があるため、購入前に各社の提供内容を確認することをおすすめします。
| 会社名 | 株式会社アルファコックス(SketchUp Pro Japan) |
|---|---|
| 所在地 | 東京都渋谷区神宮前6-10-11-5F |
| 電話番号 | 03-6421-0255 |
| 事業内容 | ソフトウェアの輸入・販売・サポート、建築・土木・インテリアのプレゼンテーションサポート(CG・3Dモデル制作/立体モデル出力)、ウェブデザイン・製作、不動産企画・コンサルティング 等 |
| 公式HP | https://www.alphacox.com/ |
SketchUpは、属性情報を標準で持つBIM専用ソフトとは性質が異なりますが、IFC出力やTrimble Connectを介した情報共有により、ボリュームスタディなど設計初期段階でBIMプロセスの一部を担うことができます。Revit連携まで見据える場合はStudioプラン、初期検討中心ならPro以上が現実的な選択肢です。
実施設計・施工図まで含めて本格的にBIM化を進めたい場合は、属性情報の管理や協働設計に強いBIM専用ソフトもあわせて比較することをおすすめします。他のBIMソフトの特徴や選び方は、以下のまとめページで詳しく紹介しています。